階段の答えはすぐ出る
たった100mの山を登るとき、だいたい階段にすると何段になるのだろうか。
そもそも質問として、階段の高さはまちまちで、統一的な規格がないのだから、成り立たないといえば成り立たないのである。
しかし、階段1段が1cmしかないということはないし、1mもあるということもない。
階段の段差はだいたい20cmほどが上がりやすく、30cmもあるとのぼるのがかなりしんどくなる。
逆に10cmほどしかないという場合は、なだらかな坂、つまり緩勾配の山道であることが多い。
いずれにせよ、だいたい20cmで平均を出してしまえば、計算は楽だろう。
そうすると、もう答えは出たようなもので、100mを20cmで割ればいいわけだ。
10000 ÷ 20 = 500
で、500段である。
これで答えは出たわけだが、では、ここからは人間らしい問いかけをしよう。
ダイエットとしてはどうだろうか
だいたい階段100段で消費するカロリーはどれくらいだろうか。
これが、おもったよりずっと少ないのである。
10kcal。
階段100段のぼって、たった10kcalしか消費されないのだという。
しかしそれは、よく考えてみれば、階段たった20mぶんしかのぼっていないのだから、そんなもんだといえばそうかもしれない。
山を100mのぼるときの消費カロリーは、50kcal。
下りでは消費カロリーは減るので、おなじ山道を下って帰るぶんを考えても100kcalも消費されない。
ただしこれは、なんの負荷もない決まった勾配の階段をのぼった場合の話である。
当然急勾配の山を100mのぼるのと、緩勾配の山を100mのぼるのとでは負荷がちがうし、負荷がちがえば消費カロリーもちがう。
このあたりは、単純に数値化するのはむずかしいが、常識的な勾配の山をのぼっている限り、50kcalの消費カロリーが1000kcalになるとことはないだろうし、かなり勾配の厳しい山をのぼるにしても、せいぜい100kcalをちょっと越える程度だろう。
健康効果が高い
消費カロリーで考えるよりも、山をのぼることによる健康効果のほうが特筆に値する。
坂道を歩くのは、平坦地を歩くのに比べて筋肉の負荷がちがう。
足は血液のポンプなので、山をのぼるときには、太ももやふくらはぎ、体幹に負荷がかかると同時に、全身にじゅうぶんな血が巡る。
これはもちろん、平坦地をウォーキングしたりジョギングしても、効果が得られるにはちがいない。
しかし、平地に比べると15度ほどの緩勾配で消費カロリー(つまり負荷)は3倍、30度の急勾配になると6倍になるという。
つまり、ウォーキングでも山歩きになるとジョギングに匹敵する運動効果があるということだ。
この山歩き、階段上りを10分ほど行うと、心血管疾患のリスクが下がるのだというが、これは中山間地に住まう高齢者が、しばしば高い健康寿命を保っていることと無関係ではないだろう。
なぜこんな話をしたのか
じつをいえば、ちょうどぼくの住む家からちょうど標高差100mの山が、すぐ裏にあって、冬の農閑期の運動にと、山をのぼるようになった。
山には鹿や猪、熊も猿もなんだっているのだが、人間が毎日のように山に入っていれば、野生の獣はよそ者をいやがって、その土地に居つくのをやめてしまう。
一石二鳥を狙ってのことなのだが、この山をのぼる健康効果が知りたかったのである。
山頂までの距離は300m、高さ100mの、小ぶりな山であるが、ここは南北の見晴らしがよく、古くは山城としても利用されたという。
直線距離300mで、高さ100mだと、勾配は平均しておよそ18度になる。
平坦地を歩くことに比べると、負荷は3倍ちょっとというところだろうか。
このたった300mの山のぼりで、だいたい1時間ほどかかるのである。
なにせほとんど獣道になっている山を、木の枝をつかみながら長靴でのぼっていく。
つかむものがないと怖いくらいの山道である。
このあたりでは80になる老人でもこれくらいの山を、ぼくより軽快にのぼっていく。
危険といえば危険なのだが、よい運動になるのも事実で、こんなことをライフワークにしていたら、そりゃ健康寿命も延びるだろう。
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